60.9センチのドラマ
ピッチャーマウンドには投げる前に踏む投手板(ピッチャーズプレート)がある。
中央下の白い板がピッチャーズプレート
大きさは60.9センチ×15.2センチ。
今月17日に2勝目をあげたファイターズの上沢投手。4月25日に打ち込まれたオリックス打線を6回までわずか2安打に抑え込んだ。
この試合で上沢投手はピッチャーズプレートを踏む場所を変えた。
どのくらい変わったのか? 4月の映像と比較してみた。
プレートを踏む位置が大きく1塁側に移動したほか、投げる前の体の向きも変わっている。
試合後本人は「ストレートの球速が今年1番だった」「体重移動がスムーズだった」とプレート移動の効果を語った。
何より印象的だったのが「マウンドから見える景色が違う」というコメント。
プレートから本塁までは18.44メートル。マウンドの上にある、たった60.9センチのプレートの移動で景色まで変わるのか?
このとき以前話題になったプレートの踏み方に関するプロ野球ルール変更が浮かんだ。
"軸足をプレートの上にしっかり置かなくてはいけなかったのが、足の一部が触れていればいい"というもの(2007年1月変更)。
映像を見て納得した。4月まではプレートの3塁寄りを踏んでいたが前回は右足が1塁側の端に触れる程度になっていて左足はマウンドの傾斜のあたりまで広がっている。確かに景色も変わって見えるだろうし、何度も対戦した打者にとっては同じ球種が違う角度で来るので打ちにくいだろう。
上沢投手にとってはピッチング研究と新しい挑戦が結果に結びついたことになるが、その裏には大谷、有原といった同世代選手の活躍があるようだ。
「正直、危機感は感じています」
ファイターズは若いチーム。熾烈なレギュラー争いがチームを進化させていることを改めて実感させられた試合だった。