2つの山
先週、コンサドーレの練習後、宮の沢の緑の芝生のピッチに見慣れない姿の選手たちが・・。
普段、練習着姿しか見ていない選手たちが、みんな同じデザインのグレーのスーツを着て登場!
実はこれ、新しいチームのオフィシャルスーツサプライヤーが決まり、そのスーツを着ての写真撮影。
普段、体を鍛え、スマートな選手たちのスーツ姿はなかなかのもの。この写真はポスターなどに使われるとか。
そのコンサドーレ。
現在、順位は7位。依然、上位に進めずにいる。
しかし、ここ10試合の成績は7勝2分1敗と調子は上向きだ。
7月、抜群のキープ力とパスセンスを誇り、チームの柱となっていたブラジル人助っ人、クライトンがコンサドーレを去った。その後、リーグ戦を戦いながらクライトン不在の新しいチームの形を作ってきたが、ようやくここにきてチームのプレースタイルが固まってきたように見える。
チームに良い影響を与えているのが、もともと高い身体能力を持つ、コロンビア人ダニルソンの成長。日本のサッカーに戸惑うことが少なくなり、プレーに余裕が出てきた。攻撃も守備ものびのびこなしているようだ。9月6日の誕生日には、強烈ミドルでバースデーゴール。これが決勝点となり、自ら、23歳の誕生日に花を添えた。ディフェンスでも持ち味のスピードを生かした驚異的な守備範囲でピンチを度々救っている。
チームに勢いを与えているもう一人の選手が、現役高校生Jリーガー古田選手の台頭。まだ18歳という若さだが、8月5日の福岡戦でプロ入り後初のフル出場を果たしてからというもの、右サイドでのスタメンの位置をほぼ不動のものにしている。ゴール前の切り込みの速さや、スペースへのボールを追うスピードなどが持ち味。9月23日の岡山戦では、最近チームの課題となっている、試合序盤に失点する立ち上がりの悪さを払拭するかのように、前半に3本のシュートを放ち、試合の流れを呼び寄せるのに大きく貢献した。
さらに、ここ数試合。実力を発揮しているのがゴールキーパーの高原選手。06年の7月以来、3年ぶりに公式戦に出場。控え選手として過ごした3年間のうっぷんを晴らすかのように、ここ2試合を完封。9月20日の福岡戦では相手選手と1対1になった場面でファインセーブを見せ、自身4年ぶりの完封勝利を手にした。
去年のゾーンディフェンスを軸とした守備的サッカーから今年のポゼッションサッカーへ。コンサドーレの戦術は監督の交代と共に大きく変わった。
今シーズン、ここまでをざっと振り返ってみると、戦術の変化に対応してきた序盤。さらにチームの柱を失い、新たな形を求められた中盤。この2つの山を乗り越える過程で失った勝ち点はかなりあるはずだ。
終盤に差し掛かろうとしている今、順位は7位と、J1昇格圏内からは遠ざかっている。しかし、チームの目指すサッカーが機能しているほか、数人の選手の成長がチーム内にいい競争を生み出し、勝利という結果を出せるチームが出来上がりつつあるのも事実だ。
もしかすると、これから、終盤にミラクルが起こるかも。そんな期待を抱かずにはいられない。