100年を体感
3月27日の「5時ナビ道新ニュース」で
「八雲発祥 木彫りの熊100年」という企画を制作しました。
↓動画はこちら
https://www.youtube.com/watch?v=IVme0pDAn98
茨城の実家の床の間にあった
サケをくわえた木彫りの熊。
「あれは北海道のおみやげなんだよ」
と子どもの頃おばあちゃんに教えられ
「なんとわかりやすい」と
思わずつっこみを入れそうになったのが昭和40年代。
そこから平成、令和と
全く気にも留めずに過ごしてきましたが
ある日突然、木彫り熊が私の頭の中に降りてきました。
そして偶然にも、「100年」という時の節目ー2024年3月26日が
目前に迫っていることを知り
矢も楯もたまらず、八雲に向かいました。
駅を降りると、いきなりのご挨拶。
最初に向かったのは「木彫りの熊資料館」。
お出迎えしてくれたのは彼(彼女?)。
学芸員の大谷茂之さんの説明は
あふれる知識と木彫りの熊愛にあふれ、
かつ、講談を聞いているようなリズム感と相まって
歴史をたどる快感を味わえました。
尾張徳川家の旧家臣たちによって開拓された八雲町で
大正13年3月26日に誕生した木彫りの熊。
その背景には、第19代当主・義親が大きく関わっていて
名古屋に12年住んだ者としては
銅像を前にすると、思わず背筋が伸びました。
たくさんの熊たちを目にして心が温まったところで
町内の「熊友工房」へ移動し
木彫り熊づくりを体験。
おそらく小学校の図工の授業以来手にする
彫刻刀と小刀を使い、
恐る恐る彫っていく私を
花屋さんから木彫り熊作家に転じた小熊秀雄さんは
「うまい、へたはないから
自分が思うように彫っていっていいんですよ」と
優しく導いてくれました。
徐々に生き物になっていき、
やがて、熊のような感じになり、
最後に顔を彫って「生命」を吹き込む頃には
なんとも言えない高揚感が湧き
完成したときの達成感は格別でした。
自分好みの顔だちの、唯一無二の「マイ木彫り熊」は
机の上で一番目につく場所、アクセント辞典の上で
きょうも笑みをたたえています。
ペザントアート(農民芸術)として
地域の人が学び合い、高め合うことで100年の歴史を刻んだ
八雲の木彫り熊の本質が
ちょっとだけ理解できたような日帰り出張でした。