晩秋に味わう、「儚さ」の美学
個人的に、札幌の魅力が詰まっている光景は
紅葉だと思っています。
200万人近い人口がある都市でありながら
自然と調和していて
四季の変化を暮らしの中で身近に感じられる、
この街の特徴の代表的な景色だと思います。
その紅葉シーズンの終盤、
「5時ナビ道新ニュース」の企画で
「札幌のバンクシー」と呼ばれるアーティストの
創作活動に同行させていただきました。
「バンクシー」といっても
政治的メッセージが込もっているわけではなく
札幌の「ありのままの自然」を生かした
ほっこりとした気持ちにさせてくれる
ナチュラルな作品を
公園のちょっとしたスペースに制作しています。
神出鬼没なのは共通していますが。
使うのは葉っぱや枝、木の皮など、
そこに落ちているものだけ。
植物由来のチョークや木炭などで
それらに色付けを施すことはありますが
あくまで「自然に還るものだけ」で創ります。
そしてそれらはあっけなく、自然に還ります。
風が吹いたら、崩れます。
雨が降っても、崩れます。
犬が歩いても、崩れます。
人が踏んでも、崩れます。
そんな「刹那」に存在する芸術。
美術の世界では「エフェメラル・アート」というそうです。
エフェメラルとは「儚い」という意味。
儚いからこそ、創っている時間が楽しい。
出来上がった瞬間が、楽しい。
そこを立ち去るときが名残惜しく、
切なく、また愛おしい。
子どものころの公園の砂遊びに近い感覚でしょうか。
夢中でお城を作っても、次の日砂場に来てみると
跡形もなくなっている、あの体験。
この世に「形あるものはいつか壊れる」無常と
「永遠とは存在しない」という真理に気づく。
...そんな感受性の強い子どもじゃなかったけど。
「札幌のバンクシー」こと、田中宏美さん
(自称ではなく、SNSで話題になった際に
フォロワーの方たちがつけたニックネームですが)
の作品は、そんな感覚を呼び起こさせてくれました。
今年の札幌の秋の風景とともに
心に焼き付く体験となりました。
【こちらで配信しています】↓
https://www.youtube.com/watch?v=leLYvucBtLA&t=24s
余談その①
我が家の犬も、そんな心境を味わったか、味わわなかったか。
...味わってないよなあ
余談②
札幌の紅葉の中でも、私が特に好きなのが、この光景です。