クール・サッポロ~第2章~
8年ぶりに、やらかしてしまいました。
街中で、鍵をキーケースごと落としてしまいました。
気付いたのはその日の夜。
家の玄関まで来て「あ...」と絶句しました。
(何とか家には入れたのですが)
その日の自分の足取りはなんとなく覚えていたので
翌日、自転車に乗って、道のりをなぞってみましたが、
もちろん、気休めでしかなく。
路上に落とした鍵を見つけるなんて
砂漠に落としたコンタクトレンズを探すようなもの。
一縷の望みをかけて、警察署へ。
紛失届を作製するにあたり、
担当の方の質問に対して
これでもかと言わんばかりに、
細かく、鍵の特徴について熱弁しました。
そこには「こんなに大事な鍵だったんですよ」と
誰かに伝えることで
別れを惜しむ儀式にしよう、という気持ちを込めていました。
言いたいことはほぼ言い終わり、紛失届は完成。
「では、確認してきます」と、担当者は席を立ち
一人の空しい時間がしばし過ぎました。
これもまた「諦め」のためのセレモニーと思いながら。
戻ってきた担当の方が、ひとこと。
「うかがった特徴に似た鍵が届いていますので、
確認をしていただきます」
えっ...。
そんな答えをもらうために待っていたわけじゃない...と
本来の目的を見失った混乱状態に陥った。
数分後、
「彼」(あえて擬人化)は還ってきた。
散々細かく説明した分、
「似てるけどちょっと違いますね」というオチもなく
まぎれもなく、「彼」であった。
落としたであろう場所から届けられた警察署は
遠くもないが、わざわざ持っていくのはちょっと億劫に感じる
微妙な距離。
それでもその日のうちに、届いていたのです。
「拾った方からは『お礼は結構です』とことづけがあり
お名前の届けもありませんでした」
...感動に「とどめを刺すの言葉をもらって
署をあとにしました。
8年前の冬には、小銭入れを紛失しましたが
こちらも無事、帰還を果たし、
こちらの「彼」もまだ健在です。
https://www.tv-hokkaido.co.jp/announcer/daito/2014/02/post-67.html
それに次ぐ「2度目のミラクル」が、
196万都市で起きました。
いや、2度目なら、ミラクルではないのです。
札幌は、そういう街なのです。
そんな街に住んでいることを改めて心に刻んで
20年目の冬が始まりました。
北海道の冬は「Cold」だけど
この街は、「Cool」=カッコいいんです。