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まだ、しゃべるんですかぁ〜!?

大藤 晋司 アナウンサー

出身地
茨城県高萩市
入社
2003年4月

大藤 晋司 アナウンサー

出身地
茨城県高萩市
入社
2003年4月

【追悼】宝物に捧ぐ

  

自分が書いた本からなので、

引用はフリーパスかと。

  

大藤晋司「スポーツ実況を100倍楽しむ方法]

(北海道新聞社 2019年)より。

"選手の特徴を的確にとらえた「キャッチコピー」の創作"に関する記述です。

  

 わかりやすい例は、箱根駅伝の5区を快走する走者を指す「山の神」でしょう。小田原から箱根芦ノ湖まで、860mの高低差を駆け上がる5区は、今や「国民的イベント」になった箱根駅伝の中でも名物区間です。2007年、3年連続で区間記録を更新した今井正人選手(順天堂大)のゴールを、日本テレビの河村亮アナが「今、山の神、ここに降臨!その名は今井正人!」と実況。今井選手のあまりの強さも相まって、「山の神」は一気に広まりました。さらにその後「2代目」、「3代目」を襲名する選手が登場し、このフレーズはすっかり定着。本来の「山に宿る神様」の意味より、今は認知されているでしょう。

 実はこの「山の神」、同じ区間を走る他大学のライバルが、大会前に今井選手をこう呼んでいて、河村アナは取材でそれを知った上で使いました。厳密に言えば創作ではないのですが、むしろ事実に基づいた「地に足のついた」フレーズであったことで、世間の共感を得ることになったのだと私は思います。実況アナの真髄が示された「技」の例といえます。

  

最終的には未掲載となりましたが、

初稿では、この後に以下の文が加わっていました。

  

河村亮アナは私と同い年で同期。名古屋の局に在籍時代、系列合同新人アナ研修を一緒に受け、プロ野球の現場等で仕事をともにしました。たゆまぬ努力で名実況を紡ぎ続ける同期アナの「フロントランナー」。尊敬しています。

  

以下は、同著「あとがき」より抜粋。

   

「スポーツは人生の縮図である」といいます。プレーを通じて競技者の「人格」に触れ、「人生」を感じ取る。スポーツ中継の醍醐味はそこにあります。それを伝える実況アナウンサーもまた、競技者とともに「人格」をさらしてしゃべります。AI=人工知能が日々発達し、人間のコミュニケーションのあり方が大きく変わっていくこれからのご時世に、実にアナログな営みです。でも、このとても人間臭い営みと相まって、「人生の縮図」であるスポーツ中継は、多くの人の心を魅了し続ける。実況アナはそれを信じて、きょうも「言霊」を届けている―。

そんな姿を、本著を通じて、ほんのわずかでも思い描いていただければ幸いです。

 文中、多くの実況アナの方々にご登場いただきました。謹んで名前を挙げさせていただいた大先輩も、あえて名前を伏せて面白エピソードを紹介した仲間もいます。全ての方々の顔や交わした会話を、できる限り思い浮かべながら書きましたが、途中、何度も笑顔を浮かべている自分に気づきました。全ての方々との出会いが、私を育んでくれた大切な宝物であったと、改めて実感しています。心から感謝申し上げます。

 

 河村 亮様

貴方も 大切な宝物でした。

合掌。

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