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まだ、しゃべるんですかぁ〜!?

大藤 晋司 アナウンサー

出身地
茨城県高萩市
入社
2003年4月

大藤 晋司 アナウンサー

出身地
茨城県高萩市
入社
2003年4月

拝啓 十三の君へ

先日、札幌市内の中学校で、

1年生を対象にした

「職業調べ・インタビュー活動」という取り組みに

参加させていただきました。

   

様々な職業に従事している方が

自分の仕事の概要について話したあと

中学生たちが事前に考えてきた質問に答えていく

というものです。

啓明中①.jpg

   

3年生まで段階的に続く

総合的な学習の時間のうちの

キャリア教育の一環。

中学生たちが「職業」というものに触れ、

自分の進路、人生設計について考える上での

「窓口」となる体験をする機会です。

啓明中⑥.jpg   

話をいただいたとき、

「こんなに早い時期に、こんなに具体的に

"仕事"というものに触れ、体感する機会があるなんて

今どきの中学生はいいなあ」

と素直に羨ましく思いました。

40年近く前の茨城の田舎の中学校では、

そんな取組は全くありません。

もしあったとしても、記憶には全く残っていません。

無論それは、

当時の日本の教育、さらには社会そのものが

そういう活動をする段階に至っていなかったのであって

誰を恨むような話でもありません。

当時より遙かに社会が成熟し、

キャリア教育の重要性が

認識されている証です。

   

当日までに、どんな話をしようか

あれこれ考えました。

そのときに頭の中にずっとあったのは

「"あの頃の自分"がそこにいたら

彼に向かって、今の自分は何を語るだろう」

という妄想でした。

   

縁あってというか、何の因果というか、

紆余曲折ありながら

この仕事に長らく携わってきた今の自分は

「何者でもない」13歳当時の自分に

この仕事について、何を言えばいいのだろう。

そんなことを考えていました。

  

頭の中に、ある曲が流れていました

「手紙~拝啓 十五の君へ~」(アンジェラ・アキ)

最近の音楽には全く疎い私ですが

耳にするたび、心に染みます。

(2009年の曲なので最近ではないのでしょうが、

私には十分「最近」です)

  

♬自分とは何でどこに向かうべきか

問い続ければ見えてくる

荒れた青春の海は厳しいけれど

明日の岸辺へと 夢の船よ進め♬

  

というくだりが、特に印象に残っています

  

大切なのは、「問い続ける」こと。

自分が何で、どこに向かうのかなんて

簡単にわかるわけなく

何度も何度も自問自答して

最後まで確信は持てないけれど

きっと、こうなんじゃないかと思いながら

一歩一歩進んでいくものなのではないかと思います。

少なくとも、あの頃の自分はそうでした。

  啓明中⑧.jpg

あの頃の自分に

「アナウンサーって、面白そうだな」

「アナウンサーって、自分の人生をかけるに値する仕事だな

そう思ってもらえる言葉を投げかけたい、

と思いました。


   啓明中⑤.jpg

  

...と、偉そうにあれこれ書きましたが

実際に教室に立ってみると

いつもと同じように

ちょっとでも面白がらせようと

余談のほうにエネルギーを注いでしまったような気がします。

啓明中③.jpg

 

「インタビュー活動」銘打つだけあって

その後、なかなか鋭い質問が

中学生たちから飛んできましたが、それはそれで、

「生身の人間同士が、自分の言葉でやりとりする」という

この仕事の本質に触れる機会に

なったのではないかと思いました。

  

啓明中⑩.jpg啓明中⑨.jpg

いやいや、上から目線で書きましたけど

いい機会になったのはこっちのほうです。

中学生なりの

「仕事というものへのリアリティ」を求める姿勢は

結構な「圧」となって伝わりました。

それに対してどんな言葉で返すのかは、

私にとっての学びでもありました。

  

啓明中⑦.jpg

彼ら、彼女らに面識あるわけではありませんが

制服を着て、教室にいるその姿と対峙するだけで

「十三の君」に出会っているような気になりました。

  

給食後の午後の授業だったので、

迫りくる睡魔と懸命に格闘し

白目をむいたり、船を漕いでいる君にも

「十三の自分」の姿が重なりました。

(それは、あなたの話が面白くなかったんです!

という突っ込みが聞こえてきそうなことも含めて)

 

そんな風景も全て含めて、思います。

君たちにはまだ、無限の可能性があります。

  

♬自分とは何でどこに向かうべきか

問い続ければ見えてくる

荒れた青春の海は厳しいけれど

明日の岸辺へと 夢の船よ進め♬

  

そして、

  

♬人生の全てに意味があるから

恐れずにあなたの夢を育てて♬

  

拝啓 この手紙読んでいるあなたが

幸せなことを 祈ります

  

あっ、これにも♬をつけなきゃいけなかった。