ちょっと力んだ...久々の読み聞かせ
先日、子どもの小学校で行われた
「読み聞かせ」の催しに参加してきました。
これまで仕事、私事を問わず
結構な回数をやらせてもらっていますが、
今回は約2年ぶりとなりました。
読み聞かせは毎回、
いい緊張感と向き合う機会です。
NGの許されない一発勝負。
まさにライブの面白さと難しさを
リアルに味わいます。
子どもは眼力(めぢから)が強いので、
視線が一斉にこちらに向くと、
読み手の心の動きが見透かされているような
妙な圧力がかかってきます。
(実際に見ているのは私の顔ではなく、絵本なのですが)
それらと葛藤しながら、
状況によって予定した読み方をとっさに変えるなど
あれこれと技巧を駆使していく。
前日の夜には、
結構ドキドキしたりします。
何より、書かれた文字を追いかける
「読む」行為ではなく、
子どもたちの心に、
少しの波紋が生まれることを願って
「語りかける」という行為は、
毎回、自分を見直すことにつながっています。
今回は、これまでで最も年齢の高い、
小学6年生に向けての読み聞かせでした。
今までで一番、精神年齢が高い子どもたちを前にするのは、
一層プレッシャーを感じ、
それはまた、新鮮なプレッシャーでした。
今回読んだ...いや、語ったのは
「さよなら 動物園」。
桂三枝師匠(現・文枝)が作った創作落語を
絵本にしたものです。
笑いの中に、人間の自然や動物に対する
身勝手さなどがちりばめられた
奥の深いお話です。
最大の課題は、上方落語なので
登場人物(動物)が関西弁であること。
「ニセ関西弁」ほど興ざめすることはないので、
アクセントチェックをしながら練習しました。
落語の軽快さ、楽しさを損なわないように、
それでいて、ちょっとメッセージ性も込めながら、
かつ、15分以上はかかる作品なので、
途中でへばらないよう(悟られないよう?)に、読み切る。
思った以上に、ハードルが高い作品でした。
正直、読んでいる最中に
「あれ、練習のときより、力んでいるかも」と
感じることが何度かあり、
「いやいや、もっと柔らかく。
まずは笑ってもらわないといけないんだから」
ときにブレーキをかけ、ときにアクセルを踏みながら
読み進めました。
読み終わった直後、
担任の先生が子どもたちに放った第一声の
「面白かったえねぇ」が、
念を押すような感じに聞こえて
「もしかして、子どもたちがつまらそうにしているのを感じて
無理やり『面白かったです』と言わせようとしているのか?」
と少々、勘ぐったりしたのですが、
特段、そうした反応は出なかったと後で耳にし、
とりあえずホッとしています。
(ひょっとしてそれも、気遣いだったりして)
今回、先生には撮影にも協力していただきました。
ありがとうございます。
この日、外は日中も氷点下でしたが、
読み終わって教室を出たときには
相当な身体の火照りを感じました。
毎回味わう、心地よい火照りです。
読み手、いや、伝え手としての原点を感じる、
忘れてはいけない火照りでもあります。