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まだ、しゃべるんですかぁ〜!?

大藤 晋司 アナウンサー

出身地
茨城県高萩市
入社
2003年4月

大藤 晋司 アナウンサー

出身地
茨城県高萩市
入社
2003年4月

吼えろ、高き志を胸に

その道は、希望に満ちたものばかりではなく

ときに心が折れそうになる急斜面や、

茨の中を傷だらけで進むときもある。

それを承知の上で歩むと決めたからこそ、尊い。

   

取材を終え、最終の特急の車内で

心に浮かんだことだ。

    

11月13日放送の

「ゆうがたサテライト道新ニュース」で

北海道初のプロのバレーボールチーム

旭川の「ヴォレアス北海道」を紹介した。

練習ロング①.jpg

   

男子国内トップリーグ入りをめざして

今季から参入した全国リーグが、

11月18日に幕を開ける。

開幕カードの試合会場であり、ホームアリーナである

鷹栖町総合体育館で

練習が始まったのは、午後6時過ぎ。

澄んだ空気の中、周囲の田園風景はすっかり夜の闇の中に消え、

体育館の灯りだけが、ひときわくっきり光を放つ。

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ヴォレアス北海道は

旭川の社会人チームを母体に、去年10月に

一般社団法人として結成。

今月、運営のための株式会社が設立された

プロのバレーボールクラブ。

プロ契約の選手もいるが、別に仕事を持つ選手もいるため、

練習は主に夜、行っている。

   

去年12月、Vリーグへの加盟申請が認められ

今シーズン、3部にあたる「VチャレンジⅡ」に参戦する。

   

登録選手は14人。

1部であるVプレミアリーグの経験者も複数在籍しているが

経歴は様々。

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岩見沢出身の田代貴之は、パナソニックから移籍  

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加藤伊織は豊田合成から、母体となった社会人チームに移り

現在は副部長と運営会社の常務も兼ねる

ャプテンでありースは

函館出身・古田史郎選手。

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最高到達点360㎝という、圧巻のジャンプ力。

これだけで見る価値がある   

法政大学時代、全日本代表も経験。

2009年グラチャンバレーで世界3位のメンバーにもなった。

昨シーズンまで、Vプレミアでも強豪の、ジェイテクトの主力選手。

昨季終了後退団し、今年6月にヴォレアスに加入。

29歳での、1部から3部への移籍は話題を呼んだ。

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「よく聞かれるんですけど...」

苦笑しながら、その理由を語る。

「北海道でバレーボールを通して、

自分が発信したいこと、夢というものを、

このヴォレアスで表現したいし

それができると思ったから決断したんです。

下のカテゴリーでプレーすることへの

抵抗のようなものはなく、

ここから、駈け上がっていく期待を持っている。

将来「日本一」になるためのイメージは、もちろんあります。

何をしていったらいいか。そうすると、どうなっていって、日本一になるのか。

そのイメージは、はっきりとあるんです。

北海道に帰ってくるということを決めた時点で

そういう覚悟を持って戻ってきています」

  

コート上のパフォーマンスは言うに及ばず

その言動でも周囲を引きつけていく。

そんな、自立したアスリートに共通する特有のオーラを放つ選手。

まぎれもなく、このチームを象徴する存在だ。

  

9月には、台湾代表主将の陳健禎選手が加入。

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また、複数の国の代表チームでコーチを務めた

クロアチア出身のエド・クライン監督が就任。

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急ピッチで、シーズンを戦う態勢を整えた。

すでに国体や全日本選手権の

北海道代表にもなるなどの実績も作っている。

  

チームは鷹栖町、東川町と包括連携協定を締結。

体育館の使用は無償などの優遇を受ける代わりに、

バレーボール教室の開催などの地域貢献活動を行うことで

双方が「ホームタウン」の結びつきを高めてきた。

  

試合当日は、地元の方々がボランティアで運営に関わり、

鷹栖中バレー部の女子中学生は、

モッパーとボールレトリーバーとして、目の前で選手たちのプレーに携わる。

「数えきれないくらい、練習を見に来てます」という彼女たちの目の輝きを見ると、

バレー界がなかなか踏み切れずにいる、「時代に即したリーグのあり方」を

道北の地から、いち早く体現しようと奮闘してきた、

チーム関係者のここまでの情熱が伝わってくる。

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狙うは、参入1年目にしてのVチャレンジⅡ優勝。

寄り道なしで、トップリーグへ駆け上がること。

とはいえ、肝心のリーグは

来季から新リーグ「スーパーリーグ」に移行するため、

今季の成績が、来季に直結するとは限らない。

ただ、新リーグは、これまでの「実業団リーグ」色の濃いものから、

プロリーグに近いものを目指しており、

試合の集客力や運営能力、その基盤となる、地元との結びつきなども

参入の対象となる方針だ。

ヴォレアスが見据えているのは、そこにある。

  

「強いチームが、いいチームではない。

僕たちが見せていかなければいけないのは

勝っても負けても、『価値があった』と思ってもらえる試合。

僕たち、選手がコート場で出すのは

一本のサーブ、一つのレシーブ、トスに

どれだけ普段からの『本気』がこもっているかが

伝わるようなプレーだと思っています」

古田主将の言葉は、それを表している。

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チーム名「ヴォレアス」は、

ギリシャ神話に出てくる北風の神

「BOREAS(ボレアース)」に由来。

エンブレムとなるチームシンボルは

北海道に生息していた伝説の狼・エゾオオカミに

翼を持つボレアース神のイメージを重ねて

象徴化している。

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先行する、野球、サッカー、バスケットボールに続き、

北海道から、新たなスポーツ文化の担い手を目指して。

彼らの最初の咆哮は、11月18日、

鷹栖町総合体育館に響くことになる。

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