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まだ、しゃべるんですかぁ〜!?

大藤 晋司 アナウンサー

出身地
茨城県高萩市
入社
2003年4月

大藤 晋司 アナウンサー

出身地
茨城県高萩市
入社
2003年4月

しなやかな鋼たち

日に日にニュースなどで
目にし、耳にする機会が増えてきて、
自然に盛り上がりを感じるものではあるけれど、
やっぱり「当事者」を前にすると、
高揚感のギアが、一段上がる。
ましてやその人たちが
「日本最速」と「日本最高」なら、なおさら。
「より速く」「より高く」「より強く」を競う祭典、
オリンピックに、最もふさわしい、二人の道産子だ。

今月13日、札幌で
リオデジャネイロ五輪に出場する
陸上競技・男子10種競技代表、右代啓祐選手と
女子100、200m代表、福島千里選手の
壮行会が行われた。
右代・福島檀上2ショット.jpg

五輪を前に11の団体による有志の会が発足し、
十勝管内幕別町出身の福島選手と、
石狩管内江別市出身の右代選手という二人を、
出身地ではない札幌市の陸上競技協会が発起人となって開催。
いわば、「オール北海道」が結束して実現した会である。

五輪の花である陸上競技。
その中でも「人類最速」を決する短距離と、
「キング・オブ・アスリート」を決める混成競技は、
特別な意味を持つ種目。
五輪という、現代のスポーツ界最高の舞台、
スポーツという分野にとどまらず、
現代の人類が共有することのできる最大の祭典において、
最も根源的な身体能力の
当代の最高を競うこの2種目は、
出場すること自体が、
「選ばれし人類のエリート」を意味する。

その種目で、福島選手、右代選手はともに日本保持者。
すなわち、日本人がこれまで到達しえなかった
未知の領域に立ち、
未踏の荒野を切り開いている選手である。
これほどのアスリートが
同じ時代に、同じ北海道という土地から生まれたという事実。
今回の壮行会の力の入りようは
そのことの重さを証明するものといえるかも知れない。

壮行会全景.jpg

身長196センチ、体重95キロ。
「これぞアスリート」とほれぼれする堂々たる体躯の右代選手。
日本選手団の赤のブレザーを着ていると
なおさらその存在が際立つ。

右代1ショット①.jpg

対して、身長165センチ、体重65キロ。
黒のスーツ姿だと、大勢の来場者の中で
探し出すのが難しい福島選手。
でも、そんな体格だからこそ、
アジア最速ともいわれるスピードを生み出されることの
凄みが伝わる。

福島1ショット①.jpg

二人の姿を近くで見て思い浮かんだのが
「しなやかな鋼」という言葉。
鍛え抜いた、鋼を思わせる「強さ」を持つ肉体。
でもそれだけでは、未踏の領域には届かない。
強いけど、堅くはない、しなやかな動き。
それこそが、選ばれし者にしかできない力。
個人的には、二人が生まれ育った
北海道という大地と重なるイメージがある。

「この壮行会の前も、1時間ウエイトトレーニングしていました。
1分1秒も無駄にすることなく過ごしています。
母校の札幌第一高陸上部の
大町(和敏)先生(監督)から
部訓の『石にかじりついてでも勝ってこい』という言葉をいただき、
今の僕を作ってくれた高校時代を思い出して、
それが一番、心に響きました。
日本選手団の旗手という大役をいただき、
僕にとっての1種目目が
8月5日の開会式から始まり、
最終盤の十種競技本番まで、
僕のリオ五輪は続きます。
みなさんも、テレビに"かじりついて"見ていただきたいです」
(右代)

右代決意表明.jpg

「1度目の北京は、あっという間に終わった五輪。
2度目のロンドンは、本番にベストの状態にもっていけず、
自信を持ち切れずに臨んで情けない経験をして、
でも、世界での位置が明確になった五輪。
3度目のリオは、いろんな経験を重ねて
しっかり走れて迎える、結果にこだわる五輪。
そして3度目で初めて、
(恩師の)中村先生と一緒に行ける五輪。
いつもいる人がついていて、いつも通りにできる。
余裕はないけど、
いい気分で、楽しい気分で臨めるのは幸せです」
(福島)

福島1ショット②.jpg

言葉の向こうに、積み上げてきた研鑽の時間と、
それをやり遂げてきているという充実感、
心もまた「しなやかな鋼」であることがうかがえる。

右代選手のブレザーと福島選手のウェアの
左胸に縫い付けられた五つの輪を見て、改めて思う。

右代囲み.jpg福島囲み②.jpg

五輪という舞台に立つ機会を得た
そのすべての人が、
「しなやかな鋼」の心と体を有している。
そしてそれを身につけるまでに過ごした時間は
等しく、尊い。
彼ら、彼女らに、スポーツの神の照覧あれ。

 

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