気おくれと、感動と
小学生の頃の将来の夢はマンガ家だった。
が...それが夢だと分かったから、今こうしている。
茨城の片田舎の中学校で
校内絵画コンクールで金賞を取ったこともある。
が...そこ止まりだなと分かったから、今こうしている。
本質的に、アート、特に美に関するセンスはないと自覚している。
だから、その分野で才を授かっている人に出逢うと、
畏敬の念ゆえの気おくれが生ずる。
そんな人にインタビューすることになったら...。
まずはその気後れを相手に悟られないように。
でも気づかれたら、開き直ってそれをネタにしてしまえ。
それを実践する機会が訪れた。
映画監督、写真家の紀里谷和明さんに
インタビューする機会を得た。
作品はもちろんのこと、
その生き方、風貌、コメント、
調べれば調べるほど、まさしく「アート」の世界の住人、という印象。
ほぼ同世代ということで、
気後れに拍車がかかったものの、
収録はいたってフランクに進んだ...と思う。
今回の来札の目的は、
映画監督3作目にして、ハリウッドデビュー作品である
「ラスト・ナイツ」のプロモーション。
インタビューの前に、鑑賞させてもらった。
まず驚かされたのが、
ハリウッド映画で、世界30カ国で公開予定という
「ボーダーレス」な作品なのに、
最も"日本人的"である
...いや、正確には、そう思いこんでいた
ある物語が下地になっていること。
それを、時代も、場所も特定されない、架空の国を舞台に
世界中の俳優を起用して描いている。
(「日本代表」の伊原剛志さんが渋い!)
しかもその脚本は、
カナダ人によって書かれたものだという。
「こういうのって、日本人じゃなきゃわからない"魂"だよね~」
なんて、今までしたり顔で吹聴していたものは
実は人類共通の、
とても根源的でグローバルなものだということに気付かされ、
ちょっと恥ずかしくも、気持ちいい感覚だった。
加えて、重厚感のある映像美がまた、ずしんと心を打つ。
紀里谷監督のインタビューと、
映画「ラスト・ナイツ」の紹介は
11月13日(金)深夜1時53分からの
「ムービーズ」でご覧ください。