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まだ、しゃべるんですかぁ〜!?

大藤 晋司 アナウンサー

出身地
茨城県高萩市
入社
2003年4月

大藤 晋司 アナウンサー

出身地
茨城県高萩市
入社
2003年4月

学成り難き中年の「学びの場」

 少年老い易く 学成り難し
子どものころ、
「無駄な時間を過ごさず勉強しろ」と説教されるときに
必ず聞かされたこのことわざ。
当時は「ああ、うっとおしい」と内心苦々しく思ったものだが、
人生の折り返し点を過ぎた今となっては
「そうそう、おっしゃる通り」と何度もうなずかざるを得ない。
確かに、学は成り難いまま少年は中年となってしまった。
このまま更に年を重ねていくのだろうか。
さりとて、今から昔のように脳みそに汗をかきながら学ぶ気力は
内面から湧いてくるのだろうか。
怖れと、情けなさと向かい合うことが増えてきた今日この頃。
何かしなきゃいけないな、とはいえ
いきなり高いハードルを越えるのもちょっと...
と身悶えしていたときに出逢い、
今年から参加しているのが...


札幌国際大学「スポビズカフェ」
「スポーツ」と「ビジネス」と「カフェ」が組み合わさった名称のこの催し。
スポーツ関係者・スポーツに関心のある市民や学生に
スポーツやスポーツビジネスに関する
"語りの場"を提供することを目的に
7年前から開催しているもの。

スポビズカフェ①.jpg

講演会やシンポジウムとは異なり
スポーツビジネスの専門家と一般の人々が
コーヒー(とかお茶とかジュースとか)を飲みながら
(&お菓子も食べながら)
スポーツについて気軽に語り合う場です。

スポビズカフェ⑤.jpg

札幌国際大によると
一般市民とスポーツビジネス業界の関係者、研究者をつなぎ
スポーツビジネスの社会的な理解を深める
新しいコミュニケーションの手法であり、
1998年にイギリスのリーズで生まれ
「カフェ・シアンティフィーク」として
イギリス国内そして海外にも広まった、
「サイエンスカフェ」の活動の
スポーツビジネス版、というべきものだとか。
...こう書くだけで、ちょっとアカデミックな人間になった気分。

スポビズカフェ③.jpg

今年度は4回開催され、私は7月の第2回から
仲間に加えていただいています。
先日開催された、今年度最終回のテーマは
「カーリング世界選手権成功への秘訣」。

スポビズカフェ④.jpg

来年3月に札幌で開催される
世界女子カーリング選手権について
北海道カーリング協会、札幌市、
2017年冬季アジア札幌大会組織委員会の方々と、
様々な立場の「スポーツ好き」の人たちが
「そもそも"成功"ってどういうこと?」
というところから始まって、
まさしく茶飲み話の場のような居心地の中、
ときに「絵空事」のように思いを語り、
ときに、現場の方からしか聞けない裏話に
目からウロコが落ちたり、
アルコールの入った懇親会と合わせ
たっぷり「スポーツに浸る」時間を過ごしました。

先日、ドイツの市民スポーツクラブに関する
リポートを読んだときと
同じ印象が残りました。

スポーツは自ら身体を動かす、プレーする人だけのものではなく、
ただ、プレーしている人たちの姿を見ているのが好き。
スポーツについて語るのが好き、という人たちも含め、
そこに住む人たちが、様々な形で
あまねく享受される歓びであるべきものです。

例えば、クラシック音楽や、バレエ、美術、演劇のように
作品を作り出す人、表現する人、
それを鑑賞したり論じたりする人。
みんなが楽しむことによって
文化として進化していくものだと思います。
もちろん、競技の成績向上、という面においても。

6月のサッカーワールドカップで1次リーグ敗退し
ブラジルから帰国した日本代表選手が
「日本のサッカーを文化として高めていかないと、
ワールドカップで勝つことはこれからもできない」
と感想をもらしましたが、その通りだと思います。

「ただのスポーツ好き」という多くの人たちが
自由闊達にスポーツについて話をする。
それが様々な人たちに作用して
新たな試みが生まれたり、考え方が醸成されていく。
みんなが当事者で、みんながファン。
何より、そういう場が自然に、たくさん持たれる地域は
豊かなところだと思います。

自分の立場でこれから何ができるのか、
提出するよう言われたわけではないけれど
宿題を出されたような気にもなります。

これが「学び」というものなのかも。
少年のころの学びと違って、
これは結構、胸躍るものです。