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まだ、しゃべるんですかぁ〜!?

大藤 晋司 アナウンサー

出身地
茨城県高萩市
入社
2003年4月

大藤 晋司 アナウンサー

出身地
茨城県高萩市
入社
2003年4月

会社魂のたましい⑰メディカルジョブセンター(札幌市)

アナウンサーというちょっと風変わりな仕事を

20年以上もやっていると

こんな思いに突然駆られることがある。

 

「自分がしているこの仕事は

本当に自分に向いていたのか。」

「そもそも、一度しかない人生で

この仕事を選択したことは正しかったのか。」

「もっと、自分に合った仕事は

本当になかったのか。」

 

基本的には、時間の無駄である。

過ぎた時間は、戻らないのだから。

それでも、思うことはある。

そして、違う人生にほんの一瞬でも触れて、

その答えに少しだけ近づく行為の一つが

この「会社魂」の取材なのかも知れない―。

そう思うこともある。

 

札幌にある

メディカルジョブセンターは、

看護師などの医療関係者を対象にした

人材紹介の会社。

いわゆる、ベンチャー企業である。

岩橋成典社長は31歳。

起業したのは27歳のときだという。

 

自分が27歳のころを思い出してみる。

未熟のひとことである。

アナウンサーとして、何もしていない。

「何かができる」という、根拠のない自信と

現実のギャップを受け入れられない焦燥感。

地に足がついていない、という言葉がそのままだ。

あのころのもどかしい心中を思いだすだけで

いまでも胸をかきむしりたくなる。

 

そんな年齢で、一国一城の主となった岩橋社長。

まず、その事実だけで感嘆する。

しかも、そこから会社を成長させ、

現在は横浜、神戸、広島、福岡でも事業を展開。

堂々たる体躯の持ち主であるが、

それ以上に、どっしりとしたものを感じる。

 

他人の人生の転機に関わるビジネス。

その現場とはどんなものなのか。

自らも転職経験があるがゆえに

怖いもの見たさに近い関心があったが

興味深かったのは

「大事なのは、“聴き切る”ということでしょうか」という

岩橋社長の言葉。

 

「求職されている方が望んでいるものを

正確に、細かく引き出すこと。

一人ひとり転職に至る事情も違うし、

キャリアプランも違う。

こちらの想像とは異なる背景であったりすることも多い。

それと、

本当に求めている希望を

自分からは言い切れない、という方も多いんです。

『注文が多すぎるかな』という遠慮や

その場では思いつかなかった、など

理由は様々ですが、

要するに、求めている側と、

私たちのとの間に、情報の量と質にズレが生じる。

これが、いざ転職してみての

『こんなはずじゃなかった』につながる。

だから、面談の場ではしっかり“聴き切る”。

“聴き切る”ためには、“聞き出す”技術がいります。」

 

インタビューをしている最中に

インタビューの極意のようなものを

相手にしゃべられてしまったように感じ、

同時に、聞き手の足元を見られてしまったような気がして

少々慌てた。

おそらくは、それもお見通しだったかもしれないが。

 

若い社長。若い社員。

無駄なもののない(まず、ほとんど紙がおいてない)デスク。

整頓された、ちょっと無機質なイメージのオフィス。

典型的な「いまどき」の職場での

インタビューの最後に

てれくさそうに岩橋社長はつぶやいた。

「僕、昔の人間なんですよね―。

義理人情というか、

同年代からみると、ウエットで敬遠されるような

人とのかかわり方が

僕は好きなんです。」

 

自分のスキルで聞き出した言葉ではないが、

少しだけ“聴き切った”と思えた瞬間だった。

 

メディカルジョブセンターの会社魂は

4月21日の

「けいざいナビ北海道」で。

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