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まだ、しゃべるんですかぁ〜!?

大藤 晋司 アナウンサー

出身地
茨城県高萩市
入社
2003年4月

大藤 晋司 アナウンサー

出身地
茨城県高萩市
入社
2003年4月

会社魂のたましい⑫ 沼田椅子製作所(石狩市)

「『真面目すぎるほど、真面目』

ということでしょうか。

決していい意味だけではありません。

技術はある。それは間違いないと思います。

ただ、『もっとうまくやれる』ための

アイデアとか、そういった力はない。

そのことを認めた上で、できることをしっかりとやる。

そういう意味ですね」

 

自らの会社の「性格」についてそう語った

沼田俊一社長。

父親である創業者・沼田豊治は

内閣総理大臣賞を受けるなど

道内屈指の椅子職人としてその名をはせた人物。

 

時代の移り変わりの中で

コスト重視の製品作りという流れに身を置いたこともあったが、

根底にある「ものづくり」へのこだわりが捨てがたく、

2006年、独自路線に舵を切る。

インターネットを利用した、直売である。

 

ちょっと待て、と思った。

自分がソファを購入した記憶をたどってみる。

何よりよりどころにしたのは、

「実際に座ってみての感覚」だったはず。

その目で、その身で、体感せずに、

決して小さくない買い物を決断できるのか。

そしてその結果に、十分な満足を得るのだろうか。

 

これが、全国から注文が来る。

ネット直販部門を担当する

沼田英司専務曰く

「一番遠いところからの注文となると…

小笠原ですかね。」

確かに、頻繁に店に足を運んで

体感しながら品定めするのは難しい場所ではある。

売る側、買う側が納得するまで

何度でもメールでやりとりをする。

「ひょっとして、お客さんはこちらの言っていることと

違うイメージを持っているかも」

と思えば、

頼まれなくても、張地のサンプルを送る。

直接顔を突き合わせることができないからこそ、

手探りだからこそ、

曖昧さを極力なくす手間をかける。

 

「お祖父さんから始まる

椅子づくりの職人の血を受け継ぐ者として

こうした“顔の見えない客”とのやりとりは

もどかしく感じたりしないんですか?」

 

自らも椅子職人である

英司さんに尋ねると

「それは、逆ですね。」

と即答された。

 

「昔の商売のやり方は、

卸や取引店から

『こういうものをお願いします』と頼まれて作る。

つまり、間に、利用者ではない人の声が入り、

パターン化された、最大公約数の椅子づくりになっていた。

使うお客さんは、本当はどう思っているんだろう。

そう想像しながら、作っていた。

このほうが、手探りです。

 

今のやり方は、買って、使う人が

直接欲しいものについての意見を言ってくる。

自分たちの頭の中にある理想を

どんどんこちらに要求してくる。

こちらはその要求を、たくさんの情報をもらうことで

製作のイメージに変えられる。

この関係のほうが、本当に

『使う人のための椅子を作っている』

という実感を得られていますよ。」

 

工場は、石狩市にある。

布に線を引く。

布を切る。

ミシンを打つ。

布を打つ。

必要最小限の音しか聞こえない。

「黙々と」という表現そのままの作業風景だ。

その中に

「“○○さんのための、この一脚”を作っている」という

明確な意志が漂う。

 

冒頭の沼田社長の言葉は

こうしたやり方を反映してのものである。

それがこの会社の、等身大の姿だと感じる。

でも、「等身大」であることは

買う人、使う人にとって、

「信頼できる」と同義なのではないかと思う。

 

沼田椅子製作所の会社魂は

33日の「けいざいナビ北海道」で。

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