ことばの未来を担う、きみたちへ②~専門学校編~
ことばで、こころを伝えること、
こころが伝わることのきっかけづくり。
これまで幼稚園や保育所、小学校などで
絵本の読み聞かせを通じて何回か行ってきましたが、
この師走、今まで経験したことのない年齢を対象とした
新たな機会をいただきました。
「札幌放送芸術専門学校」の
冬の特別授業「ウインターセミナー」で
タレント、声優などを志す学生の皆さんに
特別講師をさせていただく機会を得たのです。
いい意味で怖いものなしに
未来の自分を信じることのできる年ごろ、
(それこそが彼らの特権でもある)
しかも、将来は同じ土俵で"勝負"してやろうと目論んでいる
若者たちに、何を伝えることができるのか。
いままでの自分の仕事への取組みを
「お手並み拝見」と試されるような重圧を感じながらの
"90分一本勝負"でした。
テーマは「フリートーク」。
これまた一歩間違えれば抽象的な話になりかねない
危険で、奥の深いテーマ。
そんなに簡単にフリートークの極意がわかれば
誰もこの世界で困らない。
これまで思ってきたこと、実践してきたことを
飾らずに話すしかない、
と開き直って臨むに至りました。
後ろのホワイトボードには
「フリートーク 不自由さ」
という文字が見えますねぇ。
逆説的な、なぞかけのような、
思わせぶりな表現ですが...
あれやこれやと己を顧みて
偽らざる、素直な思いで彼らに語りたい
結論がこれでした。
思い出すとまた頭の中が沸騰してしまうので
詳細は省きます。
彼らにどれほど、伝わったのでしょうか。
とても不安です。
普段の「フリートーク」と括られた仕事を
終えたときと同じ不安です。
話を終えて、改めて思います。
しゃべることを生業にしているといわれますが、
さりとて魔法のようにうまくしゃべれる
処方せんなどを持っているわけではありません。
毎度毎度、むき出しの自分と向き合い
恐れおののき、壁にぶち当たり、悶絶し、
ときに血も凍るような思いをしながら
それでも、意を決して、マイクの前に立つ。
その連続なのです。
それでもなぜしゃべるのか。
いつの日か、彼らと、膝を突き合わせて
思いをぶつけられる日が来てほしいと思います。
お互いに、人にものを伝えることを仕事とする
同志として。