会社魂のたましい④光生舎(赤平市)
9歳で右目を失明、19歳のときに両腕を事故で失いながら
口にペンをくわえて新聞記者となり、
やがて自ら障害者の自立のための会社を興し
道内有数の企業へと成長させた男―。
思わず息を飲んでしまう、壮絶な人生。
その姿を描いたアニメーション映画が制作され、
この秋から全国で上映されているほどの
偉人の軌跡を知るべく
赤平市を訪ねた。
かつて炭鉱街として栄え、
ゆえに、炭鉱事故による多くの障害者がいた街。
彼が新聞記者として、口にペンをくわえて
障害者雇用の窮状を訴える記事を書き、
やがて、会社を立ち上げた地である。
設立から半世紀以上。
道内最大級のクリーニング工場がここ赤平にある。
障害者と健常者が、チームを組んで作業する。
お互いがお互いを理解し、サポートすることで
作業はよどみなく進む。
「垣根のない、柔軟性」が漂う職場である。
「障害を、会社の売り物にするな」
「障害者を雇用するということは、一生の面倒をみること。
責任のある経営をしなければならない」
そんな教えを残した
「伝説の人」創業者・高江常男の息子、
高江智江理(ちおり)現社長は
公私に渡って常男氏の背中を見て、学んできた。
視察に訪れた海外の事例を、熱心に語ってくれた。
その企業は、従業員の半数以上が障害者で
その国のリネン業界のナンバーワン企業だそうだ。
「障害者福祉と企業経営は、
互いを高めあう関係として両立、融合できると思っています」
気負いのない、柔らかで、穏やかな口調だった。
常男氏を描いた映画のタイトルは
「明日(あした)の希望」という。
この言葉がじわじわと心に響く
「光生舎」の会社魂は
11月25日放送の「けいざいナビ北海道」で。