1年間思い続けたこと
「アナウンスは人格でするものです」
亡き恩師が残してくれたこの言葉が
頭から離れなかった1年でした。
この仕事はむき出しの自分が、
そのまま仕事になるという
とても変わった仕事です。
ことばや表情といった
表面上の技術だけでなく
むき出しになった自分の姿そのものが、
「技術」とみなされる。
そこから逃げることはできない。
自分の中の「エゴ」と戦い続ける仕事です。
昨今の世の中は余裕がなく、
目の前のことに必死になってしまい
他人への思いやりは後回しで、
そうした「まずは自分ありき」の風潮が
「グローバルスタンダード」「国際競争の時代」
などというもっともらしい言葉で
肯定的にとらえられるようなところもあります。
そんな自分がむき出しになることは
アナウンサーの「技術」としてどうなのだろうか。
そんなことを度々考えました。
適正な競争力を備えることを怠らず
その上で、「謙虚さ」や「配慮」を持って
ことに臨む。
「生き馬の目を抜く時代に、そんな悠長なことを言っていたら
競争には勝てない」という人もいますが、
それは悠長なのではなく、
社会人としてのスキルがある、ということなのだと思います。
亡き恩師が、もう一つ、
口癖のように言っていたことばがあります。
「謙虚に、こころを持って、仕事をしてください」
2011年、きっと胸に留め続けながら過ごす言葉でしょう。