新たな試み「フットサル場内MC」に挑む
Never too late―人生に遅すぎることはない、というセリフを残したのは
2005年、自らを「オールドルーキー」と呼び、
当時の日本人最高齢、37歳でメジャーリーグ・レッドソックスと契約した、
デニー友利投手だった。
同じ1967年生まれの彼ほどかっこよくなくても、
細々としていてもいいから、
心の中にこうした気持ちは持ち続けたいと、思ったものだ。
そんな例と比べるのはおこがましいが、
また新たな試みに、この年齢になって挑めるのはありがたいと思う。
このたび縁あって、フットサルの国内トップリーグ、Fリーグに所属する
エスポラーダ北海道の今シーズンのホーム開幕戦で、
場内MCを担当することになった。
実況でもなく、司会でもなく、場内MC。
普段さまざまなスポーツを取材していて、場内に流れるそうした声は、
正直あまり心に留めずにいたのだが、
いざ自分がやることになると、様々なイメージが頭の中を交錯し、
ワクワクするときもあり、不安に襲われるときもあり、
なんとも所在ない時間を過ごしている。
昨年のFリーグ新規参入以来、
何度か取材させていただいたエスポラーダ北海道。
北海道4番目の国内トップリーグ挑戦チームだが、
試合出場でサラリーを得ている選手は一人もいない。
全員が別に仕事を持ち、フットサルと両立している。
だから日々の練習は夜9時開始、終わりは11時、
なんてスケジュールが普通である。
「よくこんな生活ができるなぁ」と尊敬する
(こっちは毎回、取材後帰宅すると翌日のことを考えられる肉体的、精神的状況に持っていけず、しばし呆然としている)。
北海道の選手だけで構成し、外国人助っ人もいない。
北海道のフットサル界が育んだ選手たちだけで、身の丈にあったチーム運営で、
昨季は10チーム中4位に食い込んだ。
これは驚嘆、賞賛に値する健闘である。
プレースタイルは実直、かつひたむき。
「自分たちが今できる100%のことを追求する」という
わかりやすいが、しかし実践するのは非常に困難なことを
表現しようとしているのが、日々の練習でもわかる。
しかも、楽しそう。
ハードな練習の最中も笑顔が絶えず、
年齢の壁なんて関係なく
頻繁にお互いの意見を交換し、「よりよいプレー」を素直に追求している。
プレーする喜びに対して素直であること。
自分たちにとってかけがえのないものだからこそ、
苦痛や重圧を背負いこまず、
楽しく、かつ一生懸命にという、一貫した思い。
世の中にもまれていくうちに
すこしずつ剥ぎとられてしまうものに、気づかされる。
そんなチームの試合に関われるのは
自分を見つめる意味で、ありがたい。
しかも、今までにない試みである。
「スポーツを表現する喜びに対して素直でいられるか」
このテーマに挑んでみようと思う。
「Fリーグ 2010 powered by ウイダー in ゼリー 第2節
エスポラーダ北海道 対 ペスカドーラ町田」
美香保体育館にて
8月15日(日)午後2時試合開始です。